たまに密着リアルドキュメント特命サラリーマン筋太郎 たまに密着リアルドキュメント特命サラリーマン筋太郎

「飛び込み営業に奮闘」

初研修をみっちり受けた後、上司から告げられた研修最後の指令は「飛び込み営業」。
新人サラリーマンにとって、飛び込み営業はハードルの高い任務だ。




バーやスナックのほかに独特な店構えのメイドカフェやガールズバーが数多く立ち並ぶ、初営業にしてはなかなか癖の強い街である。

「ビルに入っているお店を上の階から順に、一店舗ずつ訪問してください」

上司の言葉に、玉袋は思わずニヤリとなった。


「俺のスナック攻略法と、おんなじだ」






まずは先輩に同行してアプローチのお手本を見せてもらうことに。


十数分後、玉袋が浮かない顔で戻ってきた。

「名刺は受け取ってくれたんだけど、、、」


客としてではなくセールスで訪問した初めての夜の店で、玉袋は嫌な汗をかきっぱなしだった。
丁寧な言葉遣いでのトークに苦戦したらしい。
見知らぬ店の扉を次々と開け、ママの懐に入り込む百戦錬磨のスナックマスター・玉袋でも、いざ営業となると勝手が違った。

しかし、泣き言は言っていられない。


自分を奮い立たせて、
「ガンガン行きましょう!」



自ら前のめりになって、次々と飛び込む55歳


しかし、なかなか思うようにはいかない。
どんどん疲労は溜まり、足取りも重くなる。


玉袋自身はこの日、ほとんど手応えを得られなかった・・・。


肩を落とす玉袋だったが、予想に反して上司の玉袋への評価は高かった。
曰く、「これだけ門前払いがないのは珍しい」そうだ。

名刺を渡して、カラオケ導入状況などを聞き出すだけでも初動としては充分な成果なのだという。





初の営業まわりをしながら、玉袋は痛感していた。


この地道な努力があってこそ、カラオケの輪が広がっていることを。


「へこたれてちゃダメだ!」
「頑張らないといけねえ!」



「一日も早く成果を出したい」


エクシング営業マンの凄さを実感した玉袋は、そう強く思ったのだった。


(つづく)